飲みきれない日本酒や、風味が飛んでしまった日本酒が自宅に眠っていたら、入浴剤の代わりに利用するのはいかがでしょうか。日本酒を湯船に入れるだけで、美容や健康に効果があるお風呂が、あっという間に作れます。本記事では、日本酒風呂の効果や作り方、楽しむための注意点などを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
日本酒風呂の美容・健康効果

日本酒風呂に浸かることで得られる効果はたくさんあります。今回は、そのいくつかをご紹介します。
美容効果
日本酒には、美肌の元となるアミノ酸が約20種類以上も含まれています。なかでも「セリン」という肌の保湿に欠かせない、非必須アミノ酸が豊富なのが特徴です。セリンは体内でも合成されますが、加齢とともに合成量は減るので外部からの摂取が必要です。
日本酒風呂に浸かることでセリンが肌の奥まで浸透するため、保湿やアンチエイジングに効果的とされています。また、お風呂に浸かって体の芯から温まることで毛穴が開くため、溜まっていた汚れが落ちやすくなり、日本酒の美容成分が浸透しやすくなるという一石二鳥の効果もあります。
健康効果
日本酒に含まれる「アデノシン」という成分が血管を拡張させ、血行を促進します。これは、お酒を飲んだときだけでなく、日本酒風呂に浸かったときも同様です。体中に血が巡ることで代謝が上がり、ダイエットやデトックス効果も期待できます。
また、体が温まることで冷えも解消されるため、肩こりや腰痛の改善にも有効です。さらに、2020年の日本農芸化学会で、日本酒の香りにリラックス効果があると発表されました。日本酒のフルーティーな香りで心身ともに癒やされることで、自律神経の働きを落ち着かせ、ストレスを軽減させられます。月桂冠総合研究所公式ホームページ(https://www.gekkeikan.co.jp/RD/sake/sake17/)
日本酒風呂の作り方
湯船に38度程度のお湯を溜め、そこに180~360ml程度の日本酒を注ぐだけで日本酒風呂が簡単に作れます。38度だとぬるいと感じるかもしれませんが、日本酒には血行を促進する効果があるため、熱いお湯で作らないようにしてください。熱すぎるとアルコールの蒸発が早まり、のぼせる原因にもなります。お酒に弱い人は無理をせず、日本酒の量を少なめにして作りましょう。
日本酒がない場合は、酒粕でも代用が可能です。その際、不織布袋やだしパックなどに入れれば、簡単に自分だけの入浴剤が作れます。浴槽も汚れずに済むのでおすすめです。
日本酒風呂には純米酒が最適

日本酒風呂には純米酒が最適です。純米酒とは、米と米麴、水のみで作られるシンプルなお酒のことで、美肌に欠かせないアミノ酸が豊富に含まれています。本醸造酒や吟醸酒などでも日本酒風呂は楽しめますが、添加物が入っていたり、アミノ酸の量が調整されていたりするため、美容や健康効果を期待する人は純米酒を選ぶようにしましょう。
また、日本酒として合成清酒が販売されていることがありますが、こちらは日本酒風呂に使ってもあまり効果は期待できません。合成清酒は、蒸留酒に色素や香料などさまざまな混ぜものをして日本酒の味を模した醸造酒のことなので、純粋な日本酒ではないためです。
日本酒風呂に使う日本酒は、一度開封してしまったものや、香りが抜けてしまったものでも構いません。飲みかけの日本酒があれば、ぜひ試してみてください。
日本酒風呂を楽しむための注意点

日本酒風呂を楽しむための注意点についてご説明します。
日本酒のアルコール成分に注意
アルコールは皮膚からも吸収されるため、普段からお酒に弱い人は日本酒風呂でも酔ってしまう可能性があります。その場合は、日本酒の量を少なくするなど調節をしてください。特に、子どもや妊婦の入浴は禁物です。子どもは、アルコールの経皮吸収や、誤飲の危険性があり、妊婦の場合は胎児への悪影響(胎児性アルコール症候群など)が懸念されます。
アトピー性皮膚炎や敏感肌の人は、アルコールの刺激が肌への負担になる場合があるため、お酒に弱い人と同様、日本酒の量を調節するなどの工夫が必要です。また、糖尿病や肝臓病など持病を抱えている人は自己判断で入浴せずに、主治医と相談するようにしてください。
風呂釜のお手入れ方法
日本酒風呂の入浴後は、すぐにお湯を捨てて風呂釜をキレイに洗うようにしてください。日本酒には麴などさまざまな天然成分が含まれているため、そのまま放置するとそれらをエサに雑菌が繁殖する可能性があります。また、お湯の追い焚きもポンプ内で雑菌が繁殖する恐れがあるため絶対にやめましょう。
お風呂の残り湯で洗濯をする人も日本酒風呂をした場合はNGです。高級な日本酒を入れたら、何度も使いたいと思うのが心情ですが、衛生面で問題が起きては日本酒風呂の意味がありません。使ったお湯は必ず当日中に捨て、綺麗にお風呂を洗うことを心がけてください。
まとめ
日本酒風呂は、美容や健康にさまざまな効果をもたらしてくれます。日本酒風呂の作り方は簡単で、38度程度のお湯に180~360mlの日本酒を注ぐだけです。ただし、お酒に弱い人や敏感肌の人は、お酒の量を調節しながら入るなど注意します。さらに、子どもや妊婦の入浴は避け、持病を抱える人は主治医に相談の上、入浴してよいかどうかを判断しましょう。