日本酒を特徴づける精米歩合とは。お米を磨くと何が変わる?

日本酒のラベルには「精米歩合50%」などと記載されていますが、何を意味するのか気になっている方もいるのではないでしょうか。ここでは、精米歩合の定義や、これによってどのように日本酒が変化するのかについて解説していきます。

日本酒における精米歩合の意味とは

日本酒を深く理解する上で欠かせないのが「精米歩合」です。精米歩合について、国税庁告示第8号「清酒の製法品質表示基準を定める件」には「白米のその玄米に対する重量の割合をいうものとする」と記されています。平たく言うと、精米歩合とは、米を削った後の残り部分がどのぐらいあるのかを示す割合を意味しています。米を削ってタンパク質や脂質を取り除くことで、雑味のない香り高いお酒を造ることができるのです。日本酒の製造においては、この米を削る行為を「米を磨く」と表現します。

ちなみに、米を磨いた部分を「精白歩合(率)」と呼びます。「精米歩合35%」と「精白歩合65%」は同じ意味です。

引用元:国税庁告示第8号「清酒の製法品質表示基準を定める件」
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/seishu/kokuji891122/03.htm

食用米と酒米の精米歩合の違い

普段私たちが口にしている食用米と、日本酒を製造するのに適した酒米では精米歩合が異なります。これは、食べる際は旨味となるタンパク質やでんぷんなどの成分が、日本酒を造る際には苦味や雑味となってしまうからです。

酒米の特徴は、粒が大きく、タンパク質や脂質が少ないこと、そして「心白」と呼ばれる中心が白くなっている部分があることが挙げられます。心白はデンプンが粗くなっているために現れるもので、これがあると麹の菌糸が入りやすくなります。酒米にも食用米の「コシヒカリ」ように、有名な品種があります。特に名前を知られているのが兵庫県の「山田錦」で酒米では最大の生産量となっています。

食用米の精米歩合は、おおよそ90%ぐらいです。酒米と比べて粒が小さいこともあり、これ以上精米してしまうと粒割れしたり、旨味がなくなってしまったりする可能性があります。特に定められているわけではなく、品種などによって最も美味しいとされる精米が行われるのが一般的です。

一方、酒米は明確な基準が定められています。例えば、吟醸酒は精米歩合60%以下の白米を使用、本醸造酒は精米歩合70%以下の白米を使用すると決められています。大吟醸酒になると精米歩合が50%以下となり、酒米を半分以上磨いたものを使用していることになります。精米歩合が高いものがクリアな味わいになりますが、これが最も良い日本酒であるという訳ではありません。日本酒を嗜む人によって好みが分かれるものでしょう。

精米歩合による日本酒の変化

日本酒は、精米歩合の違いによって味わいが大きく異なって来ます。ここでは具体的にどのような変化をもたらすのかをご紹介します。

精米歩合で香りが変わる

日本酒の香りは「吟醸香(ぎんじょうか)」と呼ばれ、精米歩合と深い関わりがあります。一般的に、精米歩合が高くなると、より香り高い日本酒になるといわれています。前述のように、米粒には脂質やタンパク質が含まれています。その中でも米の表面付近にある脂質は、香りを抑制してしまう働きがあります。米を磨くことで脂質が徐々に取り除かれ、フルーティな香りを引き出すことができるようになるのです。

精米歩合で味わいが変わる

米を磨き、含まれる栄養素を取り除くことで、味わいも大きく変わります。精米歩合が高いものは、雑味を出す栄養素が少なくなりクリアですっきりとした味わいの日本酒となります。一方、精米歩合が低い場合でも、適した量の栄養素を残すことで芳しい香りでコクのある日本酒に仕上がります。

米を磨いた残りも料理や化粧品の原料として活用される

ここで、「磨いた米の残りはどうするのか?」と疑問に感じた方もいるのではないでしょうか。米を磨き取り除かれた部分のことを「糠(ぬか)」といいます。「米ぬか」はよく耳にする言葉ではないでしょうか。この米ぬかは、廃棄せずさまざまな商品にかたちを変えて活用されているのです。

ぬかの表面に近い部分は、栄養分も多く含まれているため飼料や肥料、ぬか床として使われます。また、中心に近いところはセラミドやビタミンなど肌に良い成分が多く含まれており、化粧品などの原料として取り入れられています。

大吟醸酒を造る途中で出てくるもろみを圧搾して残るのは、「酒粕」です。これも米ぬか同様に豊富な栄養が含まれています。甘酒やかす汁など食品として活用されるほか、美肌・美髪効果があるとされていることから、顔のパックなど美容商品に使われています。

まとめ

精米歩合は、どのぐらい米を磨いたかを示す割合のことを意味します。磨いた部分にも豊富な栄養が含まれており、肥料や化粧品などとして活用されています。この精米歩合によって、日本酒の香りや味わいが大きく異なってきます。さまざまな種類を嗜んでみて自分好みの精米歩合を知るのも良いかもしれません。