日本酒ができるまでの1年間。酒造年度・BYの意味とは

日本国内のみならず海外からも注目を集めている日本酒。全国各地で多種多様の銘柄があり、同じブランドでも純米酒と大吟醸で風味が異なるなど、日本酒は奥が深いものです。 この記事では、購入時に参考となるラベルに明記された酒造年度(BY)などの意味を解説しつつ、日本酒製造の年間スケジュールについても紹介します。

日本酒ラベルに表示されている酒造年度(BY)とは

日本酒のラベル画像

日本酒のラベルは非常に味わい深く、特にブランド名が大きく印された表ラベルは、筆文字が持つ美しさや強さが目を引き、デザインや使用されている紙質など、一つの芸術作品のようです。
裏や肩にある小さなラベルには、原材料名やアルコール度数などの情報が印されています。
ここでは、最近目にする機会が増えた酒造年度(BY)について解説します。

酒造年度(BY)の意味

日本酒のラベルを見ると、「29BY」「1BY」といった記号を目にしたことがあるかもしれません。
数字は元号で、「平成29BY」「令和1BY」と記されている場合もあります。
BYとは酒造年度を意味し、英語のBrewery Year(醸造年)の略です。

「年度」の起点は1月1日ではなく、7月1日から翌年の6月末日を一区切りとしています。
「令和1BY」なら「令和1年7月1日から令和2年6月30日の間に造られた日本酒」であることを指します。
酒造年度(BY)は国税庁への見込み申告のため設けられたものであり、必ずしも明記されているわけではありません。
製造年月日(出荷のため瓶詰めにした期日)とは異なり、ラベルへの表示義務が定められていないからです。

近年の日本酒ブームにより、熟成期間の長さによる味わいの違いを楽しむ人が増えてきたため、お酒が造られた酒造年度(BY)と、商品として出荷された製造年月日が併記されているものも増えてきました。
2つを見比べればおおよその熟成期間もわかるというわけです。

日本酒にはさまざまな年度がある

年度の区分けは、酒造年度(BY)のほかにもいくつかあるため、以下を参考にしてみてください。

会計年度

4月1日~翌年3月31日の期間。略称FY(Fiscal Year)。日本社会における一般的な年度区分です。

米穀年度

11月1日~翌年10月31日の期間。略称RY(Rice Year)。日本酒の主原料である米の取引に関する年度区分です。

暦年

1月1日~同年12月31日の期間。略称CY(Cakebdar Year)。暦(カレンダー通り)の年度区分です。

寒造りと四季醸造の違い

「寒造り」とは、冬の寒い時期に日本酒の仕込みを行うことを意味します。だいたい12月に始まり、翌年の2月頃までがシーズンです。
低温なので雑菌が繁殖するリスクが低く、発酵中の温度管理も夏に比べて容易なのが理由とされています。
「寒造り」は江戸時代に確立され、当時は農閑期である冬に労働力を確保しやすかったという事情もあったようです。

ただ、時代が変化するつれ、新しい設備も導入され、季節を問わず温度・湿度管理を調整できるようになりました。
冬に限らず、一年を通して日本酒造りが可能となったことを「四季醸造」といいます。

日本酒造りの1年間(寒造り)

続いては、伝統ある「寒造り」のスケジュールに沿って、日本酒ができるまでの一年間を見ていきましょう。

【7月~8月】酒造りの準備

7月1日、酒造年度(BY)の初日です。 主原料であるお米は、まだ稲として田んぼで育っている途中であるため、この間に蔵元では機械や容器のチェック、設備のメンテナンスなど、酒造りの準備を行います。

【9月~11月】稲の出穂・収穫・精米

9月からは秋の風物詩、「冷やおろし」が出荷されます。前年度に造られた新酒をひと夏かけて熟成させたもので、深い味わいをたのしめます。
田んぼでは稲穂が実りつつあり、状況を見ながら新米の収穫、精米という工程に入ります。
また、10月1日は「日本酒の日」。米の収穫により酒造りが本格的に始まり、1965年以前の酒造年度は10月1日が起点とされていたことから、日本酒造組合中央会が1978年に制定したのです。

【12月~3月】日本酒の醸造(寒造り)

冬に入ると、「洗米→蒸し→種切り→麹造り→醪管理」という酒造りの工程が始まります。順に説明しましょう。

①洗米:表面のぬかをきれいに洗い流します。
②蒸し:たっぷりと水分を含ませまたお米を蒸していきます。
③種切り:蒸し米を麹室に入れ、32度に下がった時点で種麹を付着させます。
④麹造り:お米のデンプンを糖に変化させる麹菌を育てます。
⑤醪管理:糖を養分に酵母菌がアルコール発酵を始めると、お米が徐々に崩れ醪(もろみ)となります。
2~3月には、お酒がしぼり始められ、一部は新酒として出荷します。

【4月~6月】日本酒の貯蔵・田植え

新酒として出荷したもの以外は貯蔵し、ゆっくりと熟成させます。4月には酒蔵や機械の片付けを行い、今年度の酒造りは終了です。
田んぼでは田植えの準備が始まり、来年度に備えます。

まとめ

日本各地で水と米と麹で造られてきた日本酒は、ハレの日や四季折々の行事を飾るにふさわしいお酒です。
日頃から日本酒を楽しんでいる方はもちろん、贈り物として日本酒を考えている方やこれから日本酒を嗜みたいという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。